札幌高等裁判所 昭和26年(う)50号 判決
検察官真鍋薰の控訴趣意第一点について検討するに、原判決は罪となるべき事実の第一第二として、外国製ただこを不法に譲り受けたことを認定しているのであつて、その事実はいづれもたばこ専売法六十六条第一項第七十一条第一項第一号に当る犯罪である。故に右行為によつて被告人の譲り受けたたばこは同法第七十五条第一項によつて沒収すべく、これを他に譲り渡して沒収することができないときは同条二項によつてその価額を追徴すべきものである。しかるに拘わらず原判決はこの物件について沒収の言渡もせず、価額追徴の言渡もしていないのは明らかに法令の適用を誤り、その誤りが判決に影響を及ぼすこと明かな場合といわなければならない。従つて原判決中この事実について刑を言い渡した部分は刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十条により破棄を免れない。
(検察官の控訴趣意)
第一点、原判決には法令の適用に誤がありその誤は判決に影響を及ぼすこと明である。
原判決は、被告人が、たばこ専売法の規定により認められた場合でないのに第一、昭和二十五年七月二十五日午後七時頃小樽市花園町東一丁目第一大通鉄道踏切附近にある被告人の露店で久保市五郎から日本専売公社の売り渡さない米国製たばこフイリツプモーリス二カートン(同上)を代金二千三百円で譲り受け、第二、同年八月十日午後七時頃右同所で右同人から日本専売公社の売り渡さない米国製たばこフイリツプモーリス二カートン、ラツキーストライク一カートンを代金三千四百五十円で譲り受け、第三、正当の事由がなく同年九月十一日午後八時頃より同年九月十三日頃迄の間小樽市新宮町畑十五番地の自宅で日本専売公社の売り渡さない米国製たばこラツキーストライク二カートンキヤメル二カートンチエスターフエルド二カートンを所持していたとの事実を認定して前掲主文の判決を言い渡したのであるが、たばこ専売法第七十五条によれば、右違反物件は之を沒収し、その不可能の場合は価額を追徴する旨を定めており、裁判所には之に関し裁量の余地がないこと、法文上明らかである。然るに原判決は第三の事実を組成した物件のみを沒収し、第一、第二の事実における違反物件につき沒収の言渡をしておらず且価額の追徴を言渡していない、此の点において原判決は不当に法令の適用をなさず明に判決に影響を及ぼすべき誤を犯している。